駄文 : 土曜ワイドラジオの思い出
昔話 永六輔土曜ワイドラジオの思い出
永六輔さんという偉大な方が亡くなって早3年ほど経つ。7月7日は彼の命日
だ。私は永さんの番組で「土曜ワイドラジオ東京」が好きだった。生前ラジ
オでこんな事を言っていたことがある。番組が始まったと同時に永さんが今
日は何の日か分かるか？とパーソナリティの外山惠理さんに聞いた事があっ
た。ちょうどその時3.11が起きて2年目辺りだったように記憶している。外
山さんは東日本大震災の前日だから…と言って口ごもってしまった。永さん
は何度も今日は何の日だ？と尋ねる。外山さん、はぶ三太郎さん、リスナー
の殆どが何を言っているんだろう？と思ったに違いない。かく言う自分も何
を言っているんだろうと思った。3月10日この日が何の日か頭の片隅には
あったが、言われるまで正直忘れていた。そして永さんがしびれを切らした
かのように、今日は東京大空襲が起きた日です。と言った。多分これをリア
ルタイムで聴いていた人は言われるまで分からなかったのではないかと思う。
1945年3月10日東京が火の海になった東京大空襲。その後続けてラジオでこ
の空襲が起きる少し前に地方に疎開をしていた。と言っていた。それにより
助かったと。でも自分は助かったけど中には疎開をしていなかった人もいて、
彼らは全員空襲によって亡くなったという。その時に言った永さんの言葉を
今でも覚えている。
ー何で自分だけ生き残ったんだ。僕も死ぬべきだったんだー
戦争を経験したことがない人間には想像もつかないような出来事だったのだ
ろう。永さんはしばらくスタジオで泣いていた。あんなに泣きじゃくる永さ
んは後にも先にも知らない。たまにふと思うことが合った。永さんは生に対
しての執着よりも死への方が大き良いのでは？と思うことが何度かあった。
永さんは霊感がある？
ある時外山さんが永さんに幽霊は信じますか？と尋ねたことが合った。
その時永さんは意外なことを言った。全然信じない。と。ものすごく意外
だった。でも、幽霊は見えるのだとも言っていた。 元々お寺の出というの
もあるのだろう。霊感は強いのかもしれない。
その時こんなエピソードを話してくれた。
永さんが人混みの多い雑踏の中にいる時に、たまに八大さん(中村八大)を見
ることがある。彼は自分の前を歩いていてたまに振り返ってくる。僕は一生
懸命追いつこうとする。でも追いつけない。そのうちフッと消えていなく
なってしまう。何度もそういう経験をしていると言っていた。
その時に永さんが、八大さん若いなぁ。当時のままだ。自分は歳取っちゃっ
たよ。と言って泣いていた。
永さんの面白い話
ある時凄く悲しいことがあって、涙が止まらなかったという。その時永さん
はあることを閃いた。自分の作った歌の歌詞に「上を向いて歩こう」がある。
この詩を真似して上を向きながら歩けば涙がこぼれないと思ったらしい(笑)
いざ実行してみると涙はどんどん流れてくる。上を向いているのに(笑)
上を向いているのに涙がこぼれるじゃないか！ (自分が作った)歌詞と違う
じゃないか！と思ったそうだ(笑)
まぁ、地球には重力がありますから(笑)
ジーンズを最初に穿いた人？
一応公式上ではジーンズを初めて履いた人は白洲次郎ということになってい
る。が、永さん曰く自分が最初に穿いたと何度もラジオで公言していた。真
相は不明。あと、日本で初めてダメージジーンズを穿いたのも自分だと。
真相は藪の中ですね。でも、身長があるしジーンズは似合う体型だと思う。
永六輔と大橋巨泉、と久米宏
この2人は似たような日に亡くなっている。
生前大橋巨泉が言っていた。
俺は誰に対しても呼び捨てにする。でも永六輔という人だけは違う。この人
は永さんなんだ。と。それ程尊敬しているのだと。
この3人の因果関係？は何ていうか面白い。
3人共同じ早稲田大学出身。永さんと巨泉は中退。
大橋巨泉は昔久米宏に大きな顔をしていたらしい。
だもんだから久米宏はあまり会いたくない人物だと「ラジオなんですけど」
で言っていた(笑) まぁ、良い意味でだと思うが(笑)
面白いことに若い頃の永さんの話し方と久米宏の話し方がそっくりというこ
とに気がついた。永さんが亡くなったあと追悼番組で昔の音声が流れていた
事がある。(音源はあるのだが探すのが面倒)それを聞いた時に初め久米宏か
と思ってしまった。本当にそっくりな話し方をする。
それもそのはずだ。久米宏は入社したての頃「土曜ワイドラジオ東京」で中
継レポーターをしていた。彼がラジオでこう述べていた。毎週イヤホンを通
して永さんの喋りを聴くから、話し方が身に付いた、と。
永さんは70代半ばくらいまで快活だった。あんなに流れるように話す人は今
いないと思う。久米宏くらいだろうか。
個人的に好きなラジオパーソナリティは日高晤郎、永六輔、久米宏。
